「映像研には手を出すな!」…面白い!
作者の大童澄瞳(おおわらすみと)さんはこの漫画がデビュー作。1993年生まれとのこと。勝手に作者は女性だと思っていたのですが男性でした。
2016年に連載がスタートし、2020年にアニメ、ドラマ、映画と怒涛の映像化がされている作品です。
「映像研には手を出すな!」の作品名は聞いたことがあったのですが、漫画を読んだのは今年に入ってからでした。そこからどハマりして、ドラマ→アニメ→映画と流れていきました。
芝浜高校を舞台に、映像研究同好会の浅草みどり、金森さやか、水崎ツバメの3人がアニメ制作にはげむストーリーです。
ものづくりの楽しさと大変さを詰め込んだ作品で、創作活動したことがある人であれば胸がキュっとする瞬間がいくつもあるはずです。創作活動したことがない人も、何か創り出したいと思ってしまうようなパワーがあります。
まず芝浜高校の世界観が良いんですよね。
「生徒会には手を出すな」と言われるほど生徒の自主性(というか権力)の強い校風で、無数の部活動があります。生徒は部活動加入が必須なので、何かしらの部活に入り、学校内で何かしらの部活動(役割)を担っています。
そしてダンジョンのように入り組んだ校舎。想像力を掻き立てて、何かが起こりそうな雰囲気を醸し出しています。
あと部活ものらしい青春感も良い。青春は野球やサッカーみたいな運動部だけじゃなく、文科系の部にもバチコリあるんです。
主役の3人のキャラクターも良い。最高の作品を作るために奔走する3人がとにかく愛おしい。
ここからは各メディアについての感想を。
漫画について
正直最初はちょっと読みにくいんですよ。独特な画風、現実と空想がシームレスに行き来する感じ、急な説明過多、など。でも慣れてくるとどんどん引き込まれて、早く続きが読みたくなるんです。
今、小学館のビックコミックのサイトで1~3話を試し読み出来るようになっていますが、正直もうちょっと読んで欲しい。2巻まで読んでピンと来なかったら、合わなかったってことで良いと思う。
慣れてくると、全部が癖になる。コマ割りとか急に空想に入る感じとか、絵柄とか。
あと自分の部活に打ち込む他の生徒たちも魅力的なんです。ロボット研究部のリアルとフィクションの狭間で葛藤する感じ好きだったな~。
浅草氏の「ロボアニメ業界ってのは 半分が敵で、もう半分は将来の敵」ってセリフが印象的でした。ほんとかうそかは知りませんが、それくらい全員を納得させるのが難しい世界なんだなとわかるセリフです。
アニメについて
めちゃくちゃ良い。音楽、作画、色使い、声。全てが原作の雰囲気に合っています。
強い演出がないのが良かったです。あくまで「学生生活という日常の話」という土台がしっかりしていて。
特に印象的だったのが浅草みどりの声を演じる伊藤沙莉(いとうさいり)さん。1994年生まれ。子役から活躍する売れっ子役者さんですが、テレビアニメの声優は初。
声がとても良い。生まれつきのハスキーボイスらしく、特徴的で耳に残る声で、それでいて聞き心地が良いんです。少年っぽい感じが浅草にまた合うんですよねー。
あとお笑いコンビ「オズワルド」伊藤さんの妹なんです。(お笑い好き以外には、オズワルドの伊藤さんが、伊藤沙莉さんの兄なのかもしれませんが)
兄弟仲が良い感じも好感度高いです。ファンになりました。
ドラマ映画について
良かったです。実写化はアレになるパターンも多いですが、そう考えるとかなり良かったと思います。
特に印象的だったのはまたも浅草みどり役を演じた乃木坂46齋藤飛鳥さん。原作のイメージを発展させた、結構特徴的なしゃべり方をするんですよ。
僕はアニメより先にドラマから入ったので、「齋藤飛鳥さん個性的なしゃべり方にしたなー。アニメがそんな感じでそれに寄せたのかな?」と思っていたのですが、アニメ観たら全然違って驚きました。
アニメとは別のアプローチでこれだけしっくりするなんて、齋藤さん凄いなと思いました。
あと、あえてマイナスな事を言うと、映画の方は、音楽や明暗の演出がちょっと過剰だったかなと思いました。原作の淡々とした雰囲気を出してほしかった。ただこれは漫画やアニメの追体験をしたい僕の印象なので、映画単体として考えたら、盛り上げるためにこれくらいは必要なのかもしれません。
また、大・生徒会の書記さかき・ソワンデ役のグレイス・エマさん、14歳なんですって。ひえ~。存在感があってストーリーでも重要な役どころなのに凄い。
漫画の最新刊とアニメのセカンドシーズンが待ち遠しいっすね。
まだ観てない方は全部観ましょう!
それじゃまた