人材業界に勤める山本。今回は転職本の紹介です。
ずらし転職 - ムリなく結果を残せる新天地の探し方
著者の村井庸介氏は慶應義塾大学を卒業後、野村総合研究所にコンサルタントとして入社。その後、リクルートやゲーム会社、IT企業などを経て、現在経営コンサル企業で取締役を務めている方です。
近しい考え方で、軸ずらし転職を掲げる「転職と副業のかけ算」著者のmotoさんがいます。
motoさんは短大卒で1社目は地方の小売店です。motoさんと比べるとかなりエリートなキャリアですね。
スタートこそ違うものの、「キャリアを掛け算して希少性を身に付ける」「入社した会社で成果をだす」という考えは同じです。そのため、キャリアを形成するにあたって、この2つは普遍的な考えとみなすことが出来ると思います。
あともう1つ共通点としては、「年齢と比べて転職回数が多い」ところも特徴です。
村井庸介さんが社会人12年で8社経験、motoさんが社会人13年で7社経験。(数字不確か)
数字だけ見ると受け入れ先としては敬遠したくなりますが、お二人とも短い期間でスキルを吸収し、成果を出しているからこそでしょう。
また、軸ずらしによってキャリア(や年収)が尖った結果、求められるシチュエーションが明確になったからという理由もあると思います。
明確になった結果、入社してその使命を達成してしまうと、年収に見合う働きが出来なくなり、その成果を持って次の会社に転職することになるのでしょう。
本の内容としては著者自身の体験をベースにしていることもあり、非常に勉強になりました。
人材業界の方が書く本は割と一般論に終始して抽象的なモノが多いですが、この本のような体験談ベースの者の方が、具体的で良かったりしますね。印象に残った内容はいくつもあります。
例えば「1に満たない数字を掛けると解は小さくなる」というフレーズ。シンプルですけど真理ですよね。
今は転職のハードルが下がって、転職が当たり前のものになっていますが、「この会社でスキルは身に付いたか?成果は出したか?」と己を振り返らせる大切な言葉だと感じました。
そしてこの本に書かれている大事な考え方として、「部署移動による軸ずらし」も大切にしている点。
環境を変える・新しいスキルを身に付けるとなると、まず転職が頭に浮かびがちですが、部署移動も大きなチャンスのひとつです。
例えば営業職からマーケティング職に移ろうとした際、転職を選ぶ前に部署移動を願い出る選択肢があります。会社も職種も変える転職と比べて、会社が同じである分、本人の負荷も会社の負荷も小さくてすみます。
万が一、マーケティング職に適性が無かった時も、同じ会社であれば営業に戻る選択が取りやすいのもメリットのひとつです。
またこの本で有益だわ~と思ったのが、軸ずらし転職の事例8件が紹介されていたこと。著者自身の体験も合わせると9例、この本を読んで知ることが出来ます。
一人のサラリーマンとして、一人の人材業界人としてとても参考になりました。
ということで、本の紹介は以上です。
キャリアアップを軸に転職を考えている方は特に一読の価値ありな本だと思います。
それじゃまた